030618yamaryo
SARS 情報の公開と隠蔽
1、中国の情報隠蔽
中国政府が情報を隠蔽したその意味はなんだろうか。
日中交流お役立ちネットワークの中の北京あれこれでは、SARSで混乱する北京市内の様子がよくわかる。その中で非常に今の中国の問題がわかる話しがあった。
ある男性がバスに乗っていたところ高熱で2回ほど倒れ、彼をSARS患者だと思い込んだバス内60人程の乗客は混乱し、運転手にバスを止めるように求め、救急車が来る前に全員が既に逃げてしまった。そして救急車で病院へ運ばれたその男性は、受付で検査費用200元を請求されたが、その時5元しか持っていなかったため逃げてしまった。その後彼は写真入で報道されて再び病院へ連れて行かれたそうだ。ちなみに彼はSARSではなかった。
中国ではまだ医療保険システムが整備されているとはいえない。検査費用は、感染者は所属の企業等が出してくれるが、感染していなかった場合全額自己負担となる。1ヶ月の給料が何百元という生活の中、医療保険のない人々には治療費が高いから逃げるというのは当然の選択肢となるだろう。SARSの情報を公開することによって市民が混乱するだけでなく、こういった国の問題が浮き彫りになったのだ。
2、日本の情報公開
日本にSARSを持ち込んだ可能性があるとされた台湾人医師に関する情報が「台湾人医師日本国内行程表および接触調査の状況」という名で厚生労働省のホームページに掲載されている。
いち早く情報を公開することで、感染の危険性のある人を探したり、本人が知ることが出来る。感染の拡大を防ぐのに情報の公開は確かに役立つ。
その反面、台湾人医師の訪れたホテルなどは、キャンセルが相次ぎ経営に損害を与えられたと訴えている。
また日本の公開している情報をすべて鵜呑みにして良いとも限らない。谷田憲俊氏(兵庫医科大学消化器内科)の新興感染症SARS(重症急性呼吸器症候群)と欠陥が露呈した「感染症新法」によると、日本のSARS発症なしには仕掛けがあった。
厚生労働省が出しているSARS診断基準表現は3段階ある。疑い例・可能性例・確定例の三つである。しかしアメリカやWHOは2段階の表現を使っており、厚生労働省のいう可能性例はすでに発症とみなされている。ちなみに日本では可能性例は16人も出ていた。これは日本の情報隠蔽にならないのだろうか。